腎臓にまつわる病気
糖尿病と腎臓
糖尿病が起こる原因
糖尿病は血液中の糖が高い状態が続く病気です。なかでも、肥満、運動不足、ストレス、喫煙など、生活習慣の影響で起こりやすくなるタイプの糖尿病の患者さんが年々増えてきています。こうしたタイプの糖尿病では、すい臓の働きが弱くなってしまうことで糖分を分解するインスリンの分泌量が減ったり、分泌されたインスリンがうまく働けなくなってしまったりすることで起きるとされています。
糖尿病の目安
空腹時血糖値が126mg/dL以上、HbA1cが 6.5%以上の時、
糖尿病の可能性があります。
出典:糖尿病診療ガイドライン2016
糖尿病性腎臓病とは
糖尿病になると血液中に糖分の高い状態が続くため、血管が傷つきやすく、また硬くなりやすくなります。そのため、長い期間かけて脳や心臓などを含む全身の血管で動脈硬化が進んでいきます。
腎臓でも血管が硬くなって、血液のろ過がうまくできなくなっていきます。糖尿病が原因で腎臓の働きが悪くなる病気のため、「糖尿病性腎臓病」と呼ばれています。
最近では糖尿病患者さんが増えていることから、糖尿病性腎臓病の患者さんも増えてきています。
糖尿病性腎臓病の症状
糖尿病性腎臓病は、自覚症状がほとんど無いまま進行していきます。多くの場合、初めのころには、アルブミンと呼ばれるたんぱく質がわずかに尿に出てきます。そのため尿検査で病気が分かることがあります。
しかし、尿検査を受けることがないままであったり、たんぱく尿が分かっても放っておいて3年~5年くらい経ってしまったりすると、大量のたんぱく尿が出るようになってきます。このころには血圧が上がってくることも多いため、血管がさらに傷つけられて、腎臓の働きがさらに悪くなってしまいます。(詳細は「高血圧と腎臓」を参照)
病気が進むと、むくみ、息切れ、食欲不振などの症状も現れてきます。
糖尿病性腎臓病の治療
血糖値が高く、少量のたんぱく質が尿に出ている時期には生活習慣を見直します。食事では必要な量のカロリーをとるよう心がけ、栄養バランスにも注意します。
また、適度な運動を生活に取り入れる、ストレスを溜めない、睡眠を十分とる、といった点に気をつけることも大切です。
糖尿病性腎臓病の治療の目安
HbA1cが7.0%未満を目指します。
出典:エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン 2018
参考資料:
平成28年 国民健康・栄養調査結果の概要
糖尿病診療ガイドライン2016
図説 わが国の慢性透析療法の現況2016年12月31日現在
エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン 2018
監修:成田 一衛 先生